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やまなし伝統工芸館ニュース 山梨日日新聞社 ーみるじゃんー 2010年01月30日(土) より 雨畑硯 注文が続々 書道ブーム 早川の伝統工芸に脚光 売り上げ2倍 若い作り手確保期待
自由に文字を書く「筆文字アート」や、高校書道部を舞 台にした漫画が人気を集めるなど、書道が脚光を浴びる中、700年以上の伝統があるといわれる早川町の工芸品「雨畑硯すずり」の売り上げが伸びている。特 に若い女性からの注文が目立ち、2009年度の売り上げは昨年度の2倍のペースで推移している。雨畑硯の工房関係者は、ブームを追い風に「伝統工芸の担い 手が現れてほしい」と願う。県内でも書道愛好者を増やそうと、70回の歴史を誇る山日YBS席書き大会など、さまざまな取り組みが見られ、書道会関係者は 書文化の発展を期待している。 雨畑硯は700年以上前、日蓮聖人の弟子が雨畑川の上流で光沢のある黒い石を発見したのが始まりとされる。おろし金の役目をする「鋒鋩ほうぼう」と呼ばれる粒子が満遍なく入っていて、滑らかでつやのある墨ができるのが特徴という。 早川町内の硯工房「硯匠庵けんしょうあん」は、5千円程度の実用的なものから、20万円以上する形状にこだわったものまで、さまざまな硯を販売。ネットで も注文を受け付けていて、08年度約250万円だった売り上げ(入館料含む)は、昨年12月末時点で約455万円。今年3月末には500万円となる見込み だ。 全国各地の書家だけでなく20代後半から30代の女性が多いといい、望月健館長は「流行に敏感な若い人が、書道を楽しんでいるようだ。ブームを契機に雨畑硯を広くPRし、歴史ある硯の作り手になってくれる人を見つけたい」と話す。 書道ブームの背景には、筆を自由に使って、アレンジした文字を書く「筆文字アート」の愛好者が増加。書家として知られる武田双雲さんが監修した、高校の書 道部を舞台にした漫画「とめはねっ!鈴里高校書道部」がヒットしたことがある。正月にYBSテレビで放映された女子高生による「書道ガールズ甲子園」も人 気を集めている。 社会経済生産性本部がまとめた「レジャー白書2009」でも、08年の15歳以上の書道参加人口は推計360万人に上るなど、 増加傾向にある。県内では31日に開かれる第70回山日YBS席書き大会は昨年、9年ぶりに参加者が増加。今年は昨年を上回る1万1607人が参加する予 定で、記念大会としてテーマ「ゆめ」から連想する文字を自由に書く、特別部門を設ける。 同大会運営委員長を務める県書道会の岡田稲香理事長は、 ブームについて「機械化、マニュアル化された現代にあって、筆でしたためる書の創造性や意外性が若者に受けているのかもしれない」と分析。「書に向き合う 人が増えることは大変うれしく、書文化のさらなる発展につながってほしい」と話している。 甲州雨畑硯についてはこちらから→www.pref.yamanashi.jp/shouko/kogyo/densan/amahata_01.html |