やまなし伝統工芸館

登録日:2009/11/10 14:47:53

伝統の染め物 日用小物に 南ア・井上染物店が商品化(やまなし伝統工芸館ニュース)

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やまなし伝統工芸館ニュース

山梨日日新聞 2009年11月06日(金) ーみるじゃんーより

伝統の染め物 日用小物に
南ア・井上染物店が商品化
バッグやハンカチ30種


 

 山梨県の郷土伝統工芸品に認定されている甲州武者のぼ りを製造する井上染物店(南アルプス市古市場、井上豊彦店主)は、のぼりなどの染め物を素材に使ったバッグやコースターなど小物類の商品化に力を入れてい る。ライフスタイルの変化により、のぼりの生産数は年々減少。日ごろから使える商品づくりを通し、伝統技術への関心を高めるのが狙いだ。
 同店は江戸末期から6代続く老舗。木綿の布にのりで絵柄を縁取り、はけで染料を塗って染め付けたこいのぼりや、武士を描いた武者のぼりなどを製造している。手作業でしか表現できない「ぼかし」と呼ばれる、代々受け継がれてきたグラデーション技術が特徴だ。
 20年ほど前には、こいのぼり、のぼりを年間20セット以上受注。しかし集合住宅の増加や節句行事の簡素化、ナイロン製品の普及などにより、現在、手染め製品の需要は半分以下に減っているという。
 こうした状況で、伝統技術を生かした製品を気軽に使ってもらおうとハンドバッグやコースター、ハンカチ、テーブルセンターなど約30種類の小物類を製造。柿渋(かきしぶ)染めしたのぼりや藍(あい)染めの布などを使用している。
 製品は同店や甲府・県地場産業センターなどで販売。ショルダーバッグなどは県の登録商標「富士山ブランド」の認定商品で、地場産業品として県外にもPRされている。
 7代目を継ぐ予定の次男展弘さん(28)は「素材の布の模様により一つ一つ仕上がりが違うのが特徴。使いやすさやデザインを研究しながら、伝統の技を生かした製品づくりを続けたい」と話している。