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やまなし伝統工芸館ニュース
山梨日日新聞社みるじゃん 2012年08月15日(水)より
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グリコのおまけが映す戦争 笛吹・伝統工芸館で企画展
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戦争にかかわるおもちゃが並ぶ「ちいさなグリコのおまけ展(2)」=笛吹・やまなし伝統工芸館
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グリコの懸賞品として人気を集めた日記。子どもの目線で戦時中の日々がつづられている
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戦後のおまけも戦車や戦闘機が多かった
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「ちいさなグリコのおまけ展 (2)~戦争と子どもたち~」が14日、笛吹・やまなし伝統工芸館で始まった。戦争体験者が少なくなった今、戦争の恐ろしさを「もの」で伝えようと企画。 兵器をかたどったおまけなどを展示することで、子どもの日常の中にも戦争が容赦なく入り込んでいた事実を伝えている。
山梨大教授の栗田真司さんの数千点に及ぶコレクションから、戦争にかかわるおまけを中心に約200点を展示。軍国主義の風潮や経済成長期など、大正時代から現代までのおまけの歴史をたどると、人々の暮らしが見えてくる。
戦前のおまけでは、金属や陶器で作られた軍艦や戦車、兵士など戦争をテーマにしたものが多い。「コドモセイシンソウドウイン」の文字が刻まれたメダルもある。戦後も米国製の銃や戦闘機、空母など戦争の影を引きずったおまけが出され続けた。
展示では、おまけに付いている券で応募する懸賞品も紹介。英雄となった兵士や軍艦の模型、軍歌集などが並んでいる。人気を集めたという「グリコ日記」には、実際に使った子どもによって戦死者の名前がつづられている。
おまけ展は昨年、プラスチックの乗り物をテーマに初めて開き、今回は2回目。山梨大と山梨英和大の学生が実習として展示を担当した。山梨英和大4年の飯島千晶さんは「展示をしながら、おもちゃから子どもの心を誘導する怖い時代だったんだね、とみんなで話した」と語る。
栗田教授は「テレビやインターネットのなかった時代、あらゆるものがメディアとして利用された。おまけを入れた大人たちの気持ち、おまけを手にした子どもたちの気持ちはどうだったのか、親子で戦争について考える機会にしてほしい」と話している。
同展は9月30日まで。
〈山本久美子〉 |
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