やまなし伝統工芸館

登録日:2012/07/26 10:21:11

観光鵜飼いに高校生が挑戦 (やまなし伝統工芸館ニュース)

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やまなし伝統工芸館ニュース

朝日新聞社 マイタウン山梨より

観光鵜飼いに高校生が挑戦

2012年07月25日

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鵜の持ち方を渡辺さん(前列左)に指導する丸山さん(右隣)=笛吹市役所前の笛吹川

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川から上がった渡辺さん(右)に指導する坂爪さん=笛吹市役所前の笛吹川河川敷

   ■800年の伝統-笛吹・夏の風物詩

 20日に始まった夏の風物詩「笛吹川石和鵜飼(う・かい)」。舟の上からではなく、鵜匠(う・しょう)が直接川に入り歩きながら鵜を操る 全国でも珍しい「徒歩(か・ち)鵜」だ。これまでは流れが速く、水量も多くて機会がなかったが、今夏は高校生の鵜匠がデビューするかもしれない。

 笛吹市観光商工課によると、笛吹川での鵜飼いの歴史は約800年前までさかのぼる。壇ノ浦の合戦で敗れた平家の生き残り、時忠が流れた先の石和で、かつて遊びで覚えた鵜飼いで生計を立てたのが始まりだと伝わる。

 観光鵜飼いが始まったのは1976年、旧石和町の時代。現在は夏の1カ月間、17人いる「笛吹川石和鵜飼保存会」(坂爪仁会長)が市の委託を受けて取り組んでいる。

 主体は旧園芸高校OBで本業も持っている。いずれも高校生のときに始めており、今年も笛吹高校の生徒12人が、鵜飼いの手伝いで参加する。1、2年生が5人ずつ、3年生が2人。

 高校生に対しては、以前は「やって覚えろ」だったが、最近はそれではやめてしまう。最初は鵜匠の足元を照らすカンテラ持ちや観光客の整理から入る。

 3年の渡辺京志郎さん(17)は1年生のとき、現在会の最年少で兄の龍太郎さん(19)に誘われ、一緒に始めた。1年生のときは女子生徒もいたが、速く冷たい流れの中に1時間つかるのは「えらい」とやめていった。

 渡辺さんの今年の目標は、鵜匠になることだ。今月10日の夜は、保存会の丸山智弘さん(35)がつきっきりで指導した。

 まず持ち方。鵜は攻撃的で、くちばしも鋭く危険。脇を締めて鵜の体を押さえ、さらに長い首を顔の下で押さえる。首が自由だとつつかれるた めだ。「目をねらう」ともいわれ、緊張を強いられる。川に入り、足元に鵜を入れて、上流に向けて放すと、ぐっと潜って、数メートル先で浮上する。

 この日の鵜はベテランだ。放すタイミング、引き寄せるときの注意などを聞く。カンテラを持つ生徒も一緒に歩いた。若い鵜は人間が近くに来ると神経質になるという。丸山さんは「いろいろな鵜を扱い経験を積んでほしい」。

 渡辺さんは「緊張しました。おとなしい鵜でよかった。鵜匠になれるよう、頑張ります」と話した。

    ◇

 観光鵜飼いは、8月19日までの水・木・土・日の午後8時から50分間。会場は笛吹市役所前の笛吹川。花火も見られる。
(渡辺嘉三)