服飾の文化は人類が着用して身なりや外観を整える中で進化し続けています。衣服の始まりは定かではありませんが「魏志倭人伝」によると当時の男性は、布や革を結んで連ね身体を覆った袈裟式の衣をまとい、女性は1枚の布や革に穴をあけ首を通した簡易的な「貫頭衣」を着ていたことが書かれています。また古墳時代の埴輪や出土品から衣服や装身具の原型を見ることができます。日本においては男女の性差、公家・武家・町人といった社会的身分や階級の反映、晴と褻や正装と平服、経済や自然環境などの構成要素が重なり合って独特な服飾の歴史を築いてきました。 鹿革は人肌に似た柔軟性を持ち、軽くて丈夫であることから多様な服飾品が作られました。原始的な利用から始まり、徐々に模様を付ける加工が施されるようになり、装飾革としてもてはやされるようになりました。当館には弓をひく際に用いる弓懸や手袋・頭巾・羽織・袴・鴨沓・足袋などが多く収蔵されています。鹿革の素材の長所を活かし、色合いや模様にも美しさを求める工夫が見られ、現代の物づくりの技術にも繋がっています。 今回は古典資料から近現代に至る様々な資料を展示しています。人が装う文化の中で鹿革はどのような利用がなされてきたのかを多岐にわたる用途の資料を通じてご覧ください。
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