鹿革はその浸透性の高さから模様付けなどの加工がしやすい特徴があり、多くの模様が施されています。今回は紋章に注目し、特集展示を行います。 家紋に代表される紋章は、公家社会において牛車の区別や装束の模様から始まったとされ、所有や格式を表していました。一方で武家社会では旗や幕・馬印などに用いることにより敵味方を区別する際の目印とされてきました。種類は多岐に亘り、天象・動植物・器物・建造物・幾何文・文字などが取り入れられ、時代に合わせて吉祥・尚武・信仰などの意味を持たせるものも生まれました。 また、屋号は主に商家や俳優・組・団体で用いられ、家名とも呼ばれています。商家や俳優では宣伝を兼ねて一族や一門の繁栄を願う図案が採用され、組や団体では勢力や力の誇示として表されました。 鹿革における紋章は燻しや藍染などの染色技法によって表現されています。用途上の分類で見ると武具に関連した品には家紋が多く、商家で使用されたと見られる財布や袋物には屋号が施されています。 紋章は視覚的な効果が高く、模様の構成やデザイン性に大変優れており、日本の独特な意匠として魅力があります。様々な鹿革工芸品を通じてこれらの紋章をお楽しみください。
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