縄文王国山梨

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登録日:2013/03/31 14:01:15

イベント報告5 縄文人の世界観─縄文土器を読み解く─

カテゴリ 歴史   文化  

講演会

 

 最初の登壇は、小野正文講師でした。
 人面装飾の上には、ヘビは良く登場するが、カエルは乗らないとか。長年の考古学研究の蓄積に裏づけられた面白い話でした。

小野正文氏の講演内容の一部紹介

 今ご紹介に預かりました小野正文と申します、よろしくお願いします。

 私は2年程前までこの埋蔵文化財センターにおったんですけれども退職しまして、今現在は地元の生まれも育ちも甲州市なんで、甲州市の教育委員会に務めております。私は考古学博物館に展示されております、今からご紹介もしますけれど、殿林土器を出した殿林遺跡が私の家の裏でありまして、小さい頃から土器をたくさん見て、という事です。では今日は人面、イノシシ、ヘビ、カエル、その他という事で、縄文土器を読み取っていくというお話をしたいと思っています。まず、これは後でまたお話しますので次に行きます。実は最初からお断りしておきますけれど、文様は解釈出来るか、お話しますと私は解釈出来ないんじゃないかと思っています。かなり不安だというふうに思っています。右側に表面図と言いましたけれども、ひょうたんなまずの絵なんですけれど、これは室町時代の有名な絵なんですけれど、ひょうたんでなまずを捕まえる。高校の教科書に載ってたんですけども、これがずっと印象にありまして、この模様を描く時は必ずこれを引用して。大体見ただけではこの絵がどういう意味があるのかというのは絵だけでは解釈できないだろうというふうに思っています。これは上の方に偉いお坊さんが、ひょうたんでなまずを捕まえるにはどうしたら良いかというと、色々解釈がありまして、油を塗ったら捕まえやすいとかですね、禅宗のお坊さんはいい加減な事をここにたくさん書いてるんですけども、そういう絵です。この絵はそういう禅宗文化とかですね、そういう文化を理解していないとなかなか理解できないというふうに思っています。ですから縄文人と我々は文化が全く違うわけですから、なかなか解釈出来ないんでは無いかと。最初からこんなことを言ってはなんですけれども、というふうに大体思っております。次の向かって右側の方ですか、オーストラリアの原住民のチュリーンガというものなんですけども、聖なる道具と言われてるんですけれども、こういう非科学的な模様が書いてあるんですけれども、オーストラリア原住民はこれを呼んでオーストラリア原住民の神話がここに書いてあるという事が読み取れる。でも我々はここを見た時は単なる馬紐とそれを繋ぐような文様しか分からない。という事で、最初からこんなことを言ってはなんですけれども、なかなかこの縄文人の模様解き解釈することは難しいんではないかという事がありました。そうは言っても、それはそうはいかないなという事で、実は江上波夫先生というのは騎馬民族征服説というのを昔出して非常に有名になった先生ですけれども、この先生は本当にグローバルな先生で色んな事を研究されてるんですけれども、文章の引用をつけておきましたけれども、縄文土器の模様の事を最初に論文にまとめた先生です。この先生は論文の中で第1にその衣装は単独に他と無関係に想像されたいうより、勝坂式土器を特徴付けた抽象的、直曲線的な装飾的装飾意匠によって暗示されたと見える場合が多い、と書いてあります。これは研究史的にはこの先生が初めてお書きになったんですけれども、その後これは意外に忘れ去られちゃったんですね。他の人達は色んなパズル、これは人だとか双環の猿だとかイノシシだとかという所から始まっちゃったんですけれども、その前は先生はこんなふうに書かれてますし、その後の先生たちも意外に海外みたいなものは無い。ここの最後にも書いてありますけれども、鹿や野豚や野イノシシや鳥や魚等を狩猟漁猟の項目表たる動物は全く生まれていないと書かれています。本当に、今からイノシシは出てきますけれども、鹿は縄文時代にほとんどありません。 (後略)

 

 会場からの質問に答える小野講師。100名もの参加者で盛況でした。