縄文王国山梨

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登録日:2013/03/31 13:37:38

イベント報告3 縄文人の世界観─目でみる景観&心でみる景観─

カテゴリ 歴史   文化  

講演会

 秋田県鹿角市教育委員会の藤井安正氏から「大湯環状列石」からの景観について語っていいだきました。 

 講演に熱心聞き入る参加者で会場は一杯になってしまいました。

 

藤井安正氏の講演内容の一部紹介

  どうも初めまして。秋田県鹿角市からやってきました藤井安正と申します。昨日8時前に家を出まして、韮崎に着いたのが3時ちょっと前ですか。7時間程かかります。東京までは出張があれば往復するんですけれど、ここまで往復というのは容易では無いんで昨日来たんですが。実は山梨は今回初めてよせて頂きました。色んな遺跡があるというのは知っていたんですが、昨日今日と案内して頂いて今日これから行く金生遺跡、もう見ては来たんですが、今日は大湯環状列石と景観という話をして欲しいということですのでそれについてお話をしたいと思います。

 皆さん鹿角市ってどこにあるか御存知ですか。やはり地元周辺でないとどこに鹿角市があるのかというのは分からないと思うんですが。北東北なんです、ちょっと行くと十和田湖があります。それでちょっと南に下がると八幡平国立公園があります。その丁度中間にあるのが鹿角市です。人口が約3万4千くらいなんですが、本当に小さな所です。地形も盆地です。非常に実は景観的には似てるかなと思ってるんですが、実は全然違う。昨日は列車に乗りながら周りの風景を見て来ました。それから昨日今日再度見ながら、山並みなんかを見てきたんですがやはり違うなと。山の高さも違うんですね。こっちだと南アルプスが見えて3000メートル近い。せいぜい私の方は奥羽山脈があるんですが1000メートルちょっとくらいです。高さからすると3分の1らいなんで。そういうこの周りなんですが、どっちかと言うと初めて見た時に圧迫感があるんですね。山が襲って来るという、そういう感情を持ちながら2日間過ごさせて頂きました。それで秋田県鹿角市、色々文化財もあるんですが有名なのは大湯環状列石。私は1番初っ端に紹介するんですが、その他に大日堂舞楽、これは世界無形遺産に登録になってはいるんですが、これが鹿角市にございます。正月の2日ですね、朝早くから舞楽が踊られると言うことで1300年程同じ踊りを延々と伝えて来たということで世界無形遺産となっています。鹿角市ピーアールはそれくらいにして先に進めたいと思います。

 ちょっと写真が小さいんですが、東北北部、それから北海道の南部の画像です。赤い丸ポチが大湯環状列石の位置です。こちらが日本海、こちらが太平洋です。ここに出っ張ったのが男鹿半島です、ナマハゲで有名な。丁度この北東北のど真ん中に大湯環状列石があると。それと黄色いポツポツ、これが北東北、それから北海道にある大規模な環状列石ですね。これをポイントで落としてはいるんですが、このうち実はこの地方で世界遺産を狙ってまして、その準備を進めてるんですが、その構成史跡が18ありまして。そのうち5つかな。伊勢堂岱遺跡、大湯、小牧野、大森勝山遺跡、それから鷲ノ木、実はこれが世界遺産の構成資産に入ってます。18のうち環状列石5つが世界遺産の構成資産に入って登録を目指しているというところです。次の画像ですが、場所だけを言ってもしようがないなと思って、環状列石の写真も用意してきました。友達にメールして写真を送れって言うことで送って貰ったんですが。この左上が伊勢堂岱遺跡です。鹿角市から車で1時間程日本海側に行った所なんですが、ここでは環状列石が4つ見つかってます。数では日本一の数です。4つありまして、舌状台地の先端に作られています。大きなもので直径40メートルくらいですか。そういうもの4つある遺跡です。ここの景観を見ていくとこの奥、写真が悪くてぼやーっとしてはいますが、これが北側です。遺跡から北側に白神山地があります。世界自然遺産になってます。壮大なブナ林が広がる山地なんですが、丁度北側に白神山地があると。この反対は何があるかと言うと高森山地という、秋田県の背骨のような山なみなんですが、そこに森吉山というやはり標高1000メートルくらいの山がありまして、それが背後にある。そういうのを景観に取り入れながら作られた環状列石です。それとこの下、ちょっと北の方へ行きます。弘前市にある大森勝山遺跡という遺跡です。縄文時代晩期の遺跡です。この伊勢堂岱遺跡は縄文時代後期、今から4000年くらい前の環状列石です。こちらが大森勝山遺跡で縄文時代晩期の遺跡。大体それから500年ほど遡ってくる遺跡なんですが、これも実は舌状台地の先端部に作られてます。ちょっと離れた所、直径8メートルくらいの竪穴住居跡が一棟見つかってます。実はこの環状列石の後ろにちょっとした山があります。津軽富士と言われています岩木山、それが背後にある。それでその前を見ていくと弘前平野が一面に見えるという、そういう環境のもとに作られている。ここの遺跡ですが、これから紹介するあとの2つ、それから伊勢堂岱遺跡というのは川原石を使っているんですが、ここは周りに大きな川が無い。ということで、ここでは山石、角のゴツゴツした石を使って環状列石を作っているという遺跡です。それからこの小牧野遺跡、青森市にあります。やはり舌状台地には作られてはいるんですが、先端部では無いです。縁の部位ですかね。そちらの方に作られていまして、環状列石が1つ作られてます。それで斜面を大規模に切り倒しまして、土木工事を平らな部分を作り出して、そこに環状列石を作っていると。この台地の斜面の途中に水場遺構というのが見つかってまして、担当者はこの聖域である環状列石に来る時にそこに乗って、穢れを払って来るんじゃないかというふうに言ってます。ここの景観なんですが、5メートルくらいの櫓を建てるとですね、この岩木山の先端が見えるらしいんですよ。ただ縄文人の人方が5メートルの櫓を作って見たのかと、私は思わないんですね。それで担当者に聞いたら、西側の方かな、八甲田山が見えるんです。これも1つのここのランドマークかなとは言ってあるんですが。もう1つあるんです。北の方を向くと陸奥湾が見える。ですからその担当者は、実はここで色んな祈りとか祭りことをするときは海に向かって色んな儀式をやったと。丁度自分が環状列石の真ん中にいて、その周りに祭りや祈りの参加者がいて、その奥に海が見えるという景色の中で色んな儀式をやっていたと考えていると言ってました。それからもう1つこの下、鷲ノ木遺跡と言います。これが北海道の森町、函館から車で45分くらい走った所なんですが、森町にある鷲ノ木遺跡という遺跡です。実はここ高速道路なんです。高速道路を作る為に発掘をしなきゃいけなかった、それで見つかった。凄い遺跡が出たものですから暫くこの高速道路の工事ストップした。最終的にはこの下をトンネルで通してまして、保存になってますが、そういう遺跡です。実際もっと森の方へ広がるという話を担当者はしてますが、ここも実は西側の方に噴火湾。丁度北海道の首が垂れ下がるような形でなってますが、その噴火湾があって、更に南西側に駒ケ岳という富士山型に近い、富士山の形のような山があります。これが見えるということで、駒ケ岳と噴火湾をランドマークとして使ってあったんじゃないか、景色に取り入れていたんじゃないかなと言われています。こうやって見ていくとですね、この上の2つについては富士山型の山じゃ無いんですが、大森勝山遺跡、それから鷲ノ木遺跡は富士山型の山が見える所で作られている。要するに富士山型の山のある所に遺跡を作ってあったということが、位置から見て取れます。大森勝山遺跡から車で20分ほど走った所、平川市とあるんです。ここに太師森遺跡、先ほどの図面にも出てきてはいるんですが、太師森遺跡という環状列石があります。谷間のずっと奥にあって、ちょっとした平らの部分を更に平地して環状列石を作ってあるんですが、実はその遺跡も岩木山、1つのランドマークを意識して作っていると。本当に狭い谷間なんです。ただ遺跡に行ってみて谷の先端と言いますか、それを見ると真正面に岩木山が見える、そういう風景です。ですからこちらの方で見つかっている環状列石もそうなんでしょうけれども北東北で見つかっている、もしくは北海道で見つかっている環状列石も基本的にはこの三角山、富士山型の山を1つのランドマークとして、もしくは遺跡の中に取り込んで遺跡を作っているということが分かります。(後略)

 

縄文ランドスケープのスライドショー

 

 講堂の外では、縄文ランドスケープのコンピューターグラフィックのスライドショーを上映しました。これは縄文王国の7館のメンバーがコンピューターを試行錯誤しながら操作した作品です。

 縄文時代の遺跡からの季節ごとの日の出や日の入りを再現しています。現地調査に先立っての事前調査に威力を発揮しています。カシミールというアプリケーションを利用しています。